
Day 2ダンジョン飯
二日目はこれ。
タイトルからしてなんじゃこりゃというお方も多いかと思う。かくいう自分も最初にこのタイトルを見たとき思った。しかしすぐにその意味を察した。
ファンタジーを題材とした各種の小説やゲームなど、そういった世界観の中に「ダンジョン」と呼ばれる地下迷宮が出てくる。そこには屈強なモンスターもいるがお宝も眠っている。またダンジョンマスターと呼ばれる存在がおり、彼らがその財宝や重要な魔法を所持または守護していたりする。我々古いタイプのゲーマーやウィザードリィやウルティマなどに慣れ親しんだ層には「ああ、そういうことな」となる作品となっている。
ダンジョン飯、つまりは迷宮の探索者がその奥深くで食べる飯。食材はお察しの通りモンスターである。モンスターと一言でいっても色々な種族種類があり、動物、植物、無機物、魔法生命体(ロボットのようなもの)など様々あり。もちろん水生生物や鳥類、卵生、胎生などの繁殖方法を持つものや、植物と動物の両方の特徴を持つものなどもいる。それらは長い時間をかけて作家やユーザーが想像し育んできた世界であり物語だ。
しかし、そういったモンスター食だけでどこまで引っ張れるの?あっさり3巻ぐらいで終わる話なのかな。そう思っていた時が自分にもありました。さにあらず、この物語は基本的に三層構造になっている。一つは主人公ライオス達のダンジョンに潜る理由があり、二つにはそれを達成するためのモンスター食、三つにはダンジョンという存在を通した「世界」との関わりである。ダンジョン飯というタイトルはこのモンスター食を指すのだが、他二つの柱が非常によくできていてグイグイと世界観に引っ張り込まれる。古今東西の名作ファンタジー作品の要素を下地に、各種モンスターやファンタジー作品中の「お約束」を改めて考察再構築する事で新たな発見がある。
そして食事をする、つまりは食料の管理をするという「兵站」の概念を持ち込むことで作品中にリアリティを付与することに成功しているのだ。6人程度のパーティが1週間以上迷宮に潜りっぱなしになるとして、そのために必要な物資はどの程度になるのか。水、食料、薬品、日用品などを担いでモンスターと戦いつつ、キャンプを張って食事をとる必要がある。主人公のパーティにはその物資を調達する資金的な余裕がない、無いならどうしよう、そうだ現地調達しよう。そしてモンスターを調理して食らうのだ。
作者は女性であり同人作家でもあるという点も見どころ。作者独特のオタクな目線と女性ならではの作風とユーモア、テンポの良さとギャグのセンスが癖になる。作品自体の構成のすばらしさもこの漫画の魅力の一つです。
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チャレンジ概要読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿す