7日間ブックカバーチャレンジ④

Day 4 宮崎駿の雑想ノート
四日目にしてようやくそれらしい本のご紹介。これは80年代半ばから90年代前半にかけ模型誌で連載されていた宮崎駿のイラストエッセイ集です。

宮崎駿といえば筋金入りの反戦思想の持ち主でありながら、しかし作中においては戦闘機や戦車がドンパチやるシーンを描かせたら右に出るものがいない稀代の天才。その天才の中で相反する2つの価値観がぶつかり合った結果、已むに已まれず漏れ出てきた妄想雑想の吹き溜まりがこの一冊となります。

実際の戦記や歴史や戦闘艦等を題材にしていたり、そうかと思うと100%妄想で構成された回があったり、そこかしこに煮締められた宮崎イズムがこれでもかと詰め込まれております。ジブリの本編映画ではとんと見ることができなくなってしまった冒険活劇がどっさりと掲載されており、これ映画になったらどうなるんだろうなぁと妄想が捗ります。実際「2億くれたら90分の映画作ってやるよ」とか書いてあってニヤニヤ。

出てくるキャラクターもおなじみの豚、犬、髭の爺さんなどがワサワサ登場し、宮崎作品といえば食についてもぬかりなく、にんにくの芽の炒め物やおにぎりやらめざしやら、戦場なので粗末なんですが妙に美味そうな食事があちこちに出てきます。

そして後半に収録されている飛行艇時代は紅の豚の原作ともいえるものであり、ファン垂涎の一編となっております。

何より巻末のインタビューでは捻じれまくった宮崎御大のミリタリー愛が炸裂しており、本編よりこっちの方が興味深いまである。天才宮崎駿の恥部ともいえるこの一冊。決して万人受けする内容ではありませんが、ご興味ある方は三鷹の森に遊びに行ったついでに買うのをお勧めします。より一層楽しめること請け合いです。