7日間ブックカバーチャレンジ⑥

Day 6 男の系譜
ブックカバーチャレンジも終盤。漫画ばっかでなくて他もないかと見渡すと、忘れちゃならないこのお方の一冊。池波正太郎先生の登場であります。

池波先生といえば鬼平犯科帳や剣客商売がまず浮かびますな。鬼平犯科帳といえば旬の料理を作中に絡ませるのが絶妙であり、平蔵と密偵達が会議を行う鳥鍋屋「五鉄」の軍鶏鍋なんかは特に有名。その他にも芹の味噌汁だとかきぬかつぎだとか、特別でなくても旨そうなのがワサワサ出てきます。今ではクックパッドに鬼平料理のレシピがどっさり収録されてたりするので、晩御飯の献立や酒の肴に迷ったら検索をお勧めします。

他にも仕掛け人梅安も名高く、しかしこれだけでなく他にも屈指の名作があるわけですが、そんな池波作品群は自分的には時代劇小説だと位置づけています。余談ではありますが司馬遼太郎は歴史小説で池波先生は時代劇小説、似ているようで似ていない感じですね。

そしてそんな池波先生の歴史上の人物に対する所感をインタビュー形式でまとめたものがこの男の系譜であります世はまさにバブル前夜の昭和60年に発行されている本書。池波先生の視線が戦国から幕末にかけての数々の武将偉人を貫いていく。歴史を俯瞰しつつ現代の日本を見つめ、時に辛辣な言葉を投げかけたりします。男ばかりではなく女にも言及していたり、小説とはまた違った切り口で紡がれていく語り口が貴重かつ示唆に富んでいる。

時代劇のチャンチャンバラバラだけではなく、株を生業としていた池波先生ならではの視点から見た歴史の道、そしてそこを知恵と才覚、剣の腕と命がけの度胸で生き抜いていく男達の生き様。それは今を生きる我々にとっても決して他人事ではない言葉。何か道に迷ったなと思ったときにふと紐解いてしまう一冊でございます。
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チャレンジ概要
読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する