春である。
春は別れの季節。
年明けからこちらバタバタっと今まで繋がってきた人たちとの別れが訪れた。
自分に問題があったり相手の都合がこちらの都合と合わなくなったり、
こんなご時世だからこそ真っ当な道に襟を正していかねばならない、
そんな中での判断と流れの上で離れる人とはここで一旦お別れを。
縁が消えてなくなった分けではない、
必要であればまた別の出会い方ができる。
それとは別に変らず新しい道を拓く人たちもいる。
良くも悪くもいま篩にかけられてれいるんだなと感じている。
ここから先一緒にやっていける人、別れる人。
今一度自分自身を見つめ直し立て直さねばならぬ。
そんな中、通り過ぎる人も疎らな自分の過疎fbに似たようなポストが。
シン・エヴァンゲリオン劇場版である。
コロナ禍にあって上映が延期されていたと聴いていたが、
どうやらついに上映されたようだ。
同世代の連中がみなこぞって映画の半券写真をアップしている。
ネタバレこそしない紳士然としたポストだがしかし、
どうやら「終わり」をそこに滲ませている。
初めてエヴァを見たのは19だったか、惰性で見ていた夕方のアニメ枠、
志望の大学に落ちてプラプラと浪人暮らしをしていたころだった。
wikiで見てみると前番組はミュータントタートルズとあるが勇者系じゃなかったかと思ったがまあそれは置いておいて。それが終わり次週から始まる新作予告として流れた短い映像。なんだか細い紫の「何か」が出てくるアニメ。はいはい、よくあるやつな。という事で追いかける事もなくそこで興味を失った。当時19歳だった自分は若干アニメから離れつつあり、「子供から大人」へと変貌しつつある時期だった。
そしてしばらく時は経ち、晩飯食いながらいつものごとくテレビをつけると例のヘンテコなロボ?みたいな奴が出てくるアニメがやっている。なんかこの絵柄見覚えあるなぁと思いながらモグモグやりつつ見ていると、どうやらあれは人型ロボットであり今から火山に潜るのだという。マグマダイバーというタイトルが異常にかっこよく思えて「そうか!これは日本中の火山に潜む怪獣をロボットが倒すアニメなんだな!!」と勝手に思い込み俄然興味が湧いてきた。
そしてそこから毎週観る事にしたんだが全然ロボットが火山に潜らない。いつになったら富士山に潜るんだ?もちろん富士山にはラスボスっぽい奴がいるんだろ!?フォッサマグナがなんか鍵になってくるんだろ?!!とかいろいろ妄想していたのに毎週毎週なんだか暗い童貞丸出しの主人公がエッチなお姉さんや性格と口が悪いヒロインやヤンデレ包帯少女に絡みつつ父親に存外な扱いを受ける様を見せられ続ける。もう観るのやめようかとも思ったが、いやいや待て待ていつかきっと火山に潜ってなんかとんでもないことが起こるに違いない、だって絵には迫力あるしなんだか無暗にワクワクするしお姉さんはサービスサービスだしもうちょっと頑張ろう。そうひた向きにロボットが火山に潜る日を待ちつつ毎週毎週欠かさず観ていた。
そんなある日、いつものように晩飯食いながらワクテカしつつエヴァが始まるのを待ちわび、そろそろ歌えるくらいには覚えたOPが過ぎてついにその時が訪れた。
「え・・・喰ってる・・・ロボットが・・・怪獣喰ってる・・・!?」
ここに居たり初めて俺は気がついた。
「このアニメ、ロボットが火山に潜るアニメじゃなかったんや!!」
晩飯を食いながら箸を持つ手が震えていた事を今でもはっきりと覚えている。
もう火山には潜らないという喪失感と、
今まで自分は何をしてたんだという驚愕が一挙に襲い掛かってきた。
あれから26年経って、
シンジはようやく大人になった。
いろんな別れや喪失を越えて、
まるで就活サイトのCMみたいに駆け出して行った。
ありがとうエヴァンゲリオン。
ありがとうマグマダイバー。
全ての別れと出会いに感謝を込めて。
