グランカスタマ⑦

歌舞伎町。

今も昔も背中に油断できない街。

この街を御用聞きで回っていたのはもう15年も前。
あの頃、この街にいた奴はもう誰もいない。
今は新しいこの街の住人達が幅を利かせている。

それは驚くほど若く、か細く、故に危うく。

自分は随分年老いたのだと知り、
同時にまだこの街にいて背中に寒気を覚えるくらいには覇気はあると知る。

正月三箇日の中日に街角に積みあがるゴミ袋、
街ゆくマスクもしない男女、
形を変えたビルディング。

俺は煌びやかな看板、
そして異様に巨大な液晶パネルに目を見張った。
職業柄それぞれのサインの見積りが目に見える。
なんという金額をかけているのだろうか。
1000万超えの看板がそこかしこに並んでいる。
これはどういう事だろうか、
これだけの数を撃てば安くもなるのか?

また液晶に関わらず打ち出し板金の看板やネオンもある。
看板屋が技術と情報を競い合っている。
これは凄まじい。

俺はひと時自らの愚かさも不幸も忘れて写真を撮りまくった。

仕事をしよう。
新しい仕事を。

歌舞伎町が、それを教えてくれている。