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夏が近いようです

Lot.no 006 ステイホーム

夏です。

夏といえばTシャツです。

かれこれもう十年以上私はTシャツを買っていません。
なぜならTシャツは買うものではなく作るものだからです。

などと唐突ですが、ようは印刷工場で働いていたので趣味で自分用のTシャツを作っていまして、そのうちになんかもっと面白いもん作れないかとダラダラとやりだしたのが始まりでありまして、子供のTシャツなんかも自分でデザインして作っております。

そして今年もボチボチ気温上昇、俺の気持ちも高揚、
夏に熱いTシャツYOYO!

ということで時勢に乗ってステイホームTシャツですわ。
いつまで続くかステイホーム。割と洒落にならないが笑って過ごしていくくらいで丁度いいと思います。

だからみなさん、ステイホーム!!

禁断の果実は鉄の味

Lot.no 005 ドバラン

ドバランである。
はいこれもまた何だよそれな一品となっておりますが、これはバトオペに実装されている高機動型ザク(前期型/後期型)が装備できる簡易ミサイルランチャーという武装がありまして、そのミサランの事を指して「ドバラン」もしくは見た目から称して「ごみ箱」と言われております。

こういう奴ですね。画像はバトオペ2よりキャプチャ撮ってます。みんなで遊ぼうバトオペ2!!

このミサイルランチャーがなぜドバランと呼ばれているかといいますと、
ようは「ドバドバミサイルを撃てる」というところからきているようで、
この「ドバドバ」というのがまた曲者。ごん太ミサイルをバンバン撃てるのは非常に射幸心というか射精心というかをビンビン刺激します。しかしですね、これがまたバンバンFFしまくる結果になるんですわ。この武装は射程距離が400m程度なので大体二枚目から三枚目くらいの位置取りで撃ち込むことになるんですが、それだと前線で斬った張ったしている汎用機の背中にミサイルを撃ち込みガチになるんですな。しっかりと位置取り考えて味方が射線に入らないよう立ち回らないとはっきり言って邪魔でありゴミ。なのでこの武装は「ゴミ箱」とも呼ばれているんだろうなぁと。

というところでドバランの意味もお分かりいただけたとは思いますが(?)、私自身この武装はかなり好きな部類に入ります。何より何にも考えずにミサイルぶっ放す開放感がキモチイイ!しかし、相手に距離を詰められると何もできずにあっという間に溶けてしまいますのでやはり熟練の腕がなければ活かせない武装でもあります。そしてこのドバランという言葉自体が面白いなと。プレイヤー達がネット上で情報交換しているうちに自然と生まれてきたスラングですが、こういうあだ名が生まれてくること自体にこの武装の存在感がある。といっても実装初期の武装なので最近はめっきり使い手も見ないですが。

またこれを担げる機体が高機動型ザクという名機でして、ガノタであれば誰でも知っている数々のエースパイロット達が乗り込んでいた「特別なザク」なんですわ。個人的にはシンマツナガが大好きです。漫画「虹霓のシン・マツナガ」ではランバラルが駆る旧ザク(ラル専用機)とチームを組んで黒い三連星とヤリあったりと激アツなシーンもあるくらいこの機体について詳しく出てくるんですが、名作MSザクを母体としながらもそのピーキーなセッティングと量産に向かない設計により少数機が生産され一部のエースにのみ配備されたってところもまたそそる。バトオペにおいても乗り手によってかなり印象が変わってしまうあたりやはりエースにしか扱えない難しい機体なんですな。ドバラン、ドバドバ撃てばいいってもんじゃない禁断の果実でございます。

現場放浪記④ 雨上がりの雲間に

新木場の現場を二度ほどこなしそれなりに業務の流れを掴みつつ、俺はその他の現場も物色し始めた。

一本だけに集中して居座るよりも、そこからの発注が薄くなった場合のことを考えて今はまだ幅広く案件を吟味していくべき段階だ。また俺たち傭兵にとって重要なスキルの一つに案件情報の文上から実際の現場内容を類推するというメソッドがある。例えば「建具搬入 間配り、清掃、他 1F EVあり」このテキストからどんな情報が読み取れるかというもの。現場の建物は某企業の博物館であり、そこから出ている発注ということを考えた時にイメージされる現場内容は何か。案件情報には他に「搬入荷揚、補助等」ともある。これは下手するとガチの荷揚げ屋が請負う非常にキツい石膏ボードなどの搬入がある可能性も考えられる。しかしEVの使用が可能であればそこはまだ憂慮の範囲内ともいえる。建具の搬入間配りということはボードは基本的には無いとも判断できる、しかし顧客がその事実を隠しているパターンもあり油断はできない。戦線復帰間もない俺は案件情報から吸い上げる以外の情報源が無い。これが場数を踏んでいくと同じ傭兵仲間から有益な情報を得ることができるようになってくるがそこまでのネットワークを構築するのはまだ先のことになる。

俺は案件情報から読み取る自分の勘と実際の現場とのギャップがどれくらいあるのかを確かめるべく江戸川橋の現場にエントリーしてみた。朝から冷たい雨が降りしきる一月の半ば。いつもは車で通り過ぎる大曲手前の高架下を急ぎ足で歩いていく人々と共に俺も白い息を吐きながら歩く。現場に向かう途中に電車が遅れてしまい到着予定時間を15分をほど過ぎてしまった。事前に職長に連絡を入れておいたので現場の通用口で落ち合う。「遅れて申し訳ない、よろしくお願いします」「ああ、しょうがないね、じゃいきます」そっけもなく髭面の職長が俺を連れて警備室をスルーしてビルの中に入っていく。「客には事情は話してあるから会社には15分遅れで申告しといて」と事務的に要件を伝えて職長はため息をついた。「今日の現場はどんな感じですか?」「うん、あれだよ、博物館の展示ブースの解体やってるからそのガラ出しやら仮置き整理が中心だね、あとはパーティションの移動もあるかもな。キツいところは昨日までで終わってるから今日はのんびりだよ。あと現場は暖房きいてるから薄着のほうがいい」無愛想な顔の割りにしっかりと情報はくれる。ニッカポッカを履きこなしているところ見るにそれなりに経験を積んだ職長らしい。

職長の言う通り雨が降り寒さが染みる外とは打って変わって中は芽が出るような暖かさだ。現場はすでに動き出しており、高い天井の館内に設えられている展示ブースを解体屋の職人たちが壊しにかかっている。展示ブースとはいえ普通の家屋と同じとは言わないまでもそこそこの頑丈さを持っており、それを解体するとなるとそれなりの大仕事となる。大振りのバールを持った職人が見る見る間に壁を打ち壊し窓枠を剥ぎ取り梁を落としていく。我々傭兵の仕事といえばそうした職人たちが動き回る際の作業補助である。ローリングタワーと呼ばれる可動足場を支えたり移動させたり、職人の指示や作業の進行に合わせて出すぎた真似をしないようにしかし見学している「お客さん」にもならぬよう周囲に気を配る。

壁を粗方解体し終わり、職人たちが躯体を支える大梁を落しにかかる。展示ブースにはもったいないくらいの立派な梁だ。重量もそれなりにあるので職人達の間にも緊張が走る。下手に壊せば即事故に繋がるからだ。「おい!こいつ落すから離れてろ!怪我すんぞ!!」一番年老いた職人衆の親方が下から指示を飛ばしながら周囲を怒鳴りつける。天井上の若い職人が梁にセイバーソーを入れていく、ある程度切れ目を入れたら後は上から蹴り落す。しかしなかなか頑丈な梁が落ちてくれない。「何やってんだ!ちょっと待ってろ」と気の短い親方が軽い身のこなしで天井に登っていく。そしてセイバーソーとバールを駆使してあっという間に梁を落した。現場を管理している制服組は梁が床に叩きつけられる轟音を聞いて飛び上がっていた。親方もちょっとやり過ぎたという感じで首をすくめておどけている。

午前中にはひとしきり解体は終わり、昼休みにあてがわれた休憩所で飯を食う。
「ああ、キツい。ちょっと寝るわ」そういって職長は飯もそこそこに突っ伏して眠ってしまった。作業中も妙な汗をかいていたし、他の傭兵との会話を聞くかぎりどうやら糖尿持ちらしい。しかし、俺の興味はそんなところには無く、今日初めて会ったはずの職長の顔と声になぜか見覚えがある気がするのだ。どこで、いつ会ったのだろうか?俺は飯を食いながら自分の記憶の底をさらってみたがどうも思い出せない。

午後からは解体した廃材を搬出するまでの間に仮置きして整理する作業を行う。解体屋はすでに引き上げたようで後は職長の指示の元に作業を黙々と進める。午前中は体調不良で調子が出なかった職長も昼の午睡で少し回復したようだ。作業を進めながら俺はこの職長が誰なのかを考えていたのだが、3時の休憩に入っている時にその答えが出た。職長と馴染みらしい年老いた傭兵との会話が俺の記憶を呼び覚ました。

「ササモトさん体調はどうかね?」「いやぁダメだね、血糖値もしっちゃかめっちゃかだしなんともならんよ」「そうかね、それじゃ好きなコンサートもいけないねぇ」「いやいやイワタさんコンサートじゃなくてフェスだよ」

フェス。この言葉と職長の顔と声が結びつき俺の記憶を呼び覚ました。もう10年以上も前、俺はとある風俗情報を扱うポータルサイトで集金係とグラビア撮影の仕切り役を兼ねた営業マンをしていた。その時に俺が受け持っていた横浜を拠点とする大手グループのフロントマンの名前が職長と同じササモトだった。リーマンショック時にどこもここも売り上げが落ち、次々と広告を取り下げていく中でササモトさんからも打ち切りの連絡があった。当時の上司も未曾有の経済危機にあっては致し方なしと俺の肩を叩き、状況が落ち着いたら再度アタックするしかないと思いを巡らせていた。その翌日にササモトさんから電話があった。「タケウチさん、うちの掲載店舗の件だけど、なんとか自分が直接管轄してる横浜分は掲載継続するからね。どういう事か分かるよね?引き続きよろしく頼むよ」と。あのリーマンショックの荒波の中で失いかけた売り上げが帰ってきた。驚きと今まで積み上げたササモトさんとの現場を振り返り涙が出るほど嬉しかった思い出。ササモトさんは見た目はケンドーコバヤシ似でフェスが好きだった。ちょっとやそっとでは長期の休みなぞ取ることはできない風俗業界にあってその我を押し通して毎年フジロックに行っていることを誇りにしていると語っていた。間違いない、この職長はあのササモトさんだ。しかし、あの首都圏20店舗以上の風俗店の広告全てを取り仕切り、仕事に趣味に誇りを持って熱く取り組んでいた恩人の面影は今は無く。肥え太り、糖尿を患いながら傭兵家業で糊口をぬぐうその姿に俺は複雑な想いを抱いた。リーマンショックを期に起こった不況の煽りを受けて俺は会社を依願退職し風俗業界から手を引いた。結婚したばかりで次のステップを目指していた時期でもあったがせっかくいただいたチャンスを満足に活かすことができず恩に報いることができなかったことが何より心残りだった。懐かしさより何よりあの時のお礼が言いたい、しかし、今の姿を見るにつけそれは憚られる。

作業は予定時間よりも一時間ほど早く終わった。身支度を整え俺たちは現場の外に出て声を掛け合う、「お疲れ様、縁があればまたどこかで」と。「またどこかで」これが俺たち流れ者が一日を共に過ごした仲間に送る別れ際の言葉。降り止まぬ雨の中に消えていくササモトさんの背中を見送りながら俺はこみ上げる言葉を飲み込んで家路についた。

その日の夜。飯を食い終えてソファで案件情報を物色している時に見慣れない電話番号から電話がかかってきた。

「もしもし、お電話いただいていたようなんですがどなたですか?」

ササモトさんだ。どうやら今日の遅刻連絡の着信履歴を見て折り返してきたようだ。何度か電話を掛けていたので不在着信の赤字を見たのだろう。

「あ、どうもタケウチです。今日はありがとうございました」
「ああ、そうか、どうもお疲れ様でした」
「たぶん今朝の着暦みたんですね」
「そうなんですよ申し訳ない、ではまたどこかで」
「ちょっと待ってください、つかぬ事をお伺いしたいんですが」
「ん?なにか?」
「ササモトさん、10年ほど前に横浜で働いてませんでしたか?」
「え!?それはいったいどういう?」
「いえ、実は自分は昔風俗のポータルサイトの営業マンやってまして、その時に
 お世話になった担当者の方がササモトさんによく似ていたもので」
「ああ、そうなんですか・・・たまに言われるんですよね、誰かに似てるとか
 どうとか。でもそれは自分ではないです」
「あ、そうなんですか、失礼しました」
「いえ、いいんですよ、なんかね、あちこちにいるみたいなんでね」
「そうですか、俺はただ一言、リーマンショックの時に助けられた事を感謝して  ると伝えたかったんですよその人に、すみません変なこといって」
「はっはっはっは、そうですか気にしないで、じゃあまたどこかで」

俺は電話を切ってベランダに出でタバコに火をつけた。
雨はもう止んでいる。
夜空には雲間に月が顔をのぞかせていた。

お早うクソッタレ共!

Lot.no 004 FoAA10

皆さんはA-10という対地攻撃機をご存知だろうか?
ちょっと待ってほしい、いきなりA-10だの攻撃機だの言われても何がなにやら分からないとおっしゃるのも当たり前だ。しかしあえて言おう、私はA-10が大好きだ!!ルーデル閣下が大好きだ!とはいえ年に2~3回くらいルーデル閣下の生い立ちをwikiで読む程度の好きさではあるがまあそこそこ好きということで。

んでこのナチ将校のルーデル閣下なんですが、スツーカと呼ばれる急降下爆撃機に乗って鬼人の如き活躍見せた稀代のエースパイロットであり、あまりに戦車をぶっ壊されたソビエトからその首に懸賞金を賭けられるほどの人物だ。戦闘中の負傷により片足を失っても尚飛び続け、戦後はそのハンデを抱えたままアンデス山脈の頂をいくつも制覇している超人である。興味がわいた人はぜひその偉業の数々を調べてみてほしい。いい暇つぶしになること請け合いである。

んで、このTシャツ。ルーデル閣下は第二次大戦後にアメリカのフェアチャルド社に請われてA-10サンダーボルトⅡの設計顧問に就いている。その後、1976年にロールアウトされたA-10が幾度もの引退危機を乗り越え今だに戦場の空を飛び続けている事を考えるといかにこの機体が優れた生存性と整備性を備えているかがよく分かる。特徴としてはとにかくタフである事、たとえ被弾しても自力で帰ってくることができる生存性は数々の伝説を残している。そして火気においては30mm徹甲弾で戦車を砕くアベンジャーガトリング砲を備えている。これはシンプルにして豪腕という男のロマンを形にしたようなガトリング砲であり、一説によるとアヴェンジャーを撃ち続けていると機体速度が落ち始め最終的には後ろに進みだすという。なんという恐ろしい兵器であろうか。

ということで私はA-10とルーデル閣下が大好きなのでその両方をマリアージュさせたというわけである。ちなみにルーデル閣下を囲っているサークルの黄色と緑は閣下の愛機スツーカの機体色である。しかしまあナチ将校の肖像がプリントしてあるTシャツなんか作れないわなぁと思いつつもこの夏には一枚作ってみようかなぁとは思っている。

最後に有名なA-10コピペを紹介してお別れです。

~今日もA-10学校に朝が来た~

「お早うクソッタレ共!ところでジョナスン訓練生、
貴様は昨夜ケンカ騒ぎを起こしたそうだな?言い訳を聞こうか?」

「ハッ!報告致します!磯臭いF-18乗り共がアヴェンジャーを指して
『バルカン砲』と抜かしやがったため7砲身パンチを叩きこんだ次第であります!!」

「よろしい。貴様の度胸は褒めておこう。いいか、低空で殴りあうには
1にも2にもクソ度胸だ。曳航弾をクラッカー程度に感じなければ一人前とは
言えん。今回のジョナスン訓練生の件は不問に処そう。
だがアヴェンジャーを知らないオカマの海軍機乗りでも士官は士官だ。
訓練生の貴様はそこを忘れないように。
ではA-10訓、詠唱始めッ!!!!」

何のために生まれた!?
――A-10に乗るためだ!!
何のためにA-10に乗るんだ!?
――ゴミを吹っ飛ばすためだ!!
A-10は何故飛ぶんだ!?
――アヴェンジャーを運ぶためだ!!
お前が敵にすべき事は何だ!?
――機首と同軸アヴェンジャー!!!
アヴェンジャーは何故30㍉なんだ!?
――F-16のオカマ野郎が20㍉だからだ!!
アヴェンジャーとは何だ!?
――撃つまで撃たれ、撃った後は撃たれない!!
A-10とは何だ!?
――アパッチより強く!F-16より強く!F-111より強く!どれよりも安い!!
A-10乗りが食うものは!?
――ステーキとウィスキー!!
ロブスターとワインを食うのは誰だ!?
――前線早漏F-16!!ミサイル終わればおケツをまくるッ!!
お前の親父は誰だ!?
――ベトコン殺しのスカイレイダー!!音速機とは気合いが違うッ!!

我等空軍攻撃機!機銃上等!ミサイル上等!被弾が怖くて空が飛べるか!!(×3回)

現場放浪記③ 東京の果て

タオルを頭に巻いた男。案件情報に名前はタケタニとあった。

眠いのかだるいのか、こちらを一切見ることなく倉庫内をあちこちと動き回って整然と並ぶ資材が入った籠車をチェックしている。こちらもまだ様子見の段階だ。下手に手を出せばそこからドンパチの火種が生まれかねない。始業まで5分ほど間があるので周囲を警戒しつつ伺う。

そのうちにずるずると人が集まりだし、最後に見るからに横柄な態度の男が現れた。その男はホワイトボードに手書きの札を貼り付けながらブツブツ何やらつぶやいている。

「ねぇ、タケタニさんその人に2番から5番のメンテやらしといて、籠車の整理
 終わってからでいいから、その後はトラック捌くときだけ声かけて、任す」

非常に早口で次々と指示を飛ばして来る、俺には何のことだかさっぱり理解できない。タケタニはそれを理解しているようで軽くうなづきながら手のひらに指で何かを書いていた。

「じゃあいきましょうか、ついて来て下さい」

先ほどとは別人のような顔と声でタケタニが俺に向き合った。スイッチが入ったのだろうか、ようやくこちらを人間として認識したかのような豹変振りである。別段タケタニのような傭兵が珍しいわけではない、派遣現場は言わば普通に会社勤めができない人間たちが気楽に生きていくための手段である。最低限のマナーとルールを守るだけで、余計な人間関係や責任から開放されたある種のセーフゾーンだ。世間から見ればいわゆる「変わり者」だったりもする。そして報酬は最速で当日手にすることもできるし、健康保険が適用される会社もある。本業を持ちつつ空いた時間を回すことでそれなりの収入を得ることも可能だ。ただしそれは本人のスキルとマネージメント能力次第ではあるが。そういった自由人と己の腕っ節で生きている連中が渾然一体となりつつ、一般的な世間とはまた違うゆるーく生きてる人々のクラスターが構成されているのだ。

むき出しの鉄骨と大波スレート、厚手のテント生地で構成された倉庫内をうろうろしつつ、どこかネズミを思わせるというか、なんとなく霊長類最強女子に似ている感じもするタケタニがテキパキと今日のミッションについて説明してくれた。要はこの倉庫はイベントなどで使う機材をレンタルしている会社の倉庫であり、ここに待機している機材を磨いたり簡単な修理をしたり、イベント会場から返却されてきた機材をチェックしたり倉庫内を整理したりというのが主な作業内容となるのだと。午前中は各イベント会場から返却されてきた機材がなだれ込み、その逆に空いているトラックに前日に用意しておいた機材を積み込んだりしながら合間合間にメンテナンス業務を行う。

タケタニに倉庫内を案内されつつ周囲を観察する。どうやらここには三種の陣営が配置されているようだ。まずは俺が所属する「M」、そしてイベント系に強いと言われている「U」という派遣会社、そしてそもそもこの倉庫を運営している雇い主の会社という構成だ。M陣営は俺たちの様なBC契約のフリーランスとそれを管理するA契約(社員)が常駐しているようだ、初日の今日は余計な事は聞かずに観察することで倉庫内の人間関係や稼動状況を把握することに努める。複数陣営が混在しているということはそこに何らかのパワーバランスが存在し、それぞれが背負っている看板によって階層が存在することも考えられる。迂闊なことはできない。

何より今の目的は傭兵家業のルーティン化である。仕事内容がハードであるかどうか、自分のスキルでどの程度こなせて継続性がもてるかどうかの見極めをつけていかねばならない。自宅からのアクセス並びに通勤時間、交通費に諸経費、仕事の内容による肉体への疲労度、人間関係から受けるストレス強度、様々な観点から現場を評価しいかに自分の望む形に最適化していくか、そのための立ち居振る舞いとベストではなくベターな現場選定が今現在求められている最優先事項である。

東京の果て、潮に紛れて木材とガソリンの匂いが流れてくる倉庫の薄暗がりの中、俺の新たな戦いが幕を開けた。

敵意の渋滞が招く悲劇

Lot.no 003 No more FF

FFである。
ファイナルファンタジーではない、フレンドリーファイアの略だ。
ようは同士討ち、仲間同士での誤射または故意の射撃の事である。

現実ではあらゆる状況の戦場においてFFによる死者がかなりの数いるだとかなんだとか、興奮状態にある兵士が錯乱して銃を乱射した結果仲間を背中から撃ってしまうとか、むかつく上司をこっそりFFで葬り去るとかそういった類のものだ。

ことゲームに於いても同じで、特に数人が一つのチームになって戦うものとなるとこういった状況に陥りやすい。ただでさえ見ず知らずのプレイヤー同士がマッチングして即席スクワッドなど組む状況で乱戦にもつれ込んだりすると酷いFFがあちこちで起こったりもする。特に初心者プレイヤーが緊張のあまり周囲を見渡せずVCでの連携もできない中でとにかく目の前の敵だけしか見えずに仲間諸共吹き飛ばすなんて事はよくあることだ。

それがゲーム内のことであれやはり他人に脚を引っ張られるのは腹も立つし、とはいえそれはいつかの自分でもあるので暖かい目で見守るのも紳士の務め。そうかと思うとPKよろしく故意にFFを仕掛けてくる者達も一定数存在する。あれはいったい何のためにそうするのか?暇つぶしか、それとも真性のやべぇ奴なのか、バトオペに於いても開幕速攻で仲間の背中を射抜いてくる輩がいるがなんとも不毛である。

そんな不毛な世界を繰り返さぬよう祈りを込めたこの一枚。
作った当初はツイッターから反響もいただいてサバゲー勢からDMもいただいたりしたが、最終的にはネット広告の営業だったのでそういう成りすまし敵な輩は戦場であったら後ろから背中を打ち抜いて差し上げたいと思います。あれ?

写真は中野プロフェッサーTKにて撮影させてもらった一枚。

支援機がよくFFしてくるんだこれが・・・

現場放浪記② 新木場にて

現場に向かうためにいつもより早めに目覚める朝。

お気楽極楽な自営業の特権はすべての時間を自分の好きに使える事にある。
もちろんお客さんの都合に合わせながらもではあるが、
実際にどうしても朝の七時八時から始めなければいけない現場なぞそうは
無いもので、なぜ世の中の大半が定時を設けているかといえばそうせねば集団を
束ねて動かせないからだろう。その理から外れた我々フリーランスは勢い緩くもなるがそれでは仕事はままならず顧客の信用も失ってしまう。世の中はバランスで成り立っているのだ。

まだ明けきらぬ薄暗がりの中、吐く息も白く俺は自転車を駅へと走らせる。
できれば家の近くの現場が望ましかったのだが、すぐに入れる案件が新木場にしかなかった。内容的には「倉庫内整理、機材メンテナンス等」とあった。
俺たち傭兵は大元の派遣会社が発信する案件情報にアクセスし、自分の好みの案件を探し出しエントリーする。そしてまだ席が空いていればその時点でマッチングし契約完了となり指定の日時に指定の場所へと直行する。俺が所属する派遣会社は契約形態を三つに分けており、俺は一番縛りが無い代わりに何の保障も無く紹介案件も限られるC契約を派遣会社と交わしていた。

六時過ぎとはいえすでに込み始めている西部池袋線に乗り込み、有楽町線に乗り入れていく路線の最終駅新木場へ。海辺に近いエリアはいつ行ってもある種の違和感を感じさせる。人が住む場所ではない、狭間とも言えるような何か。これが田舎の海辺などになるとまた違ってみえるのは、都会の海辺は埋立地だからだろうか。新木場に着いてエスカレーターを上がると巨大な木材の梁がオブジェとして飾ってある。なるほどここは江戸の木材を扱う町なのだな。

駅から少し歩いたところに目的地はあった。もう日はすっかり上がっているが未だ早朝の空気は残っている。次の曲がり角を曲がれば現場だ、俺が少し脚を早めて歩き出した時、突然目の前に何かが飛び出してきた。
カート!?マリオカート!?どうやら現場の近くが例の外国人観光客に人気の
アトラクションを提供している基地のようで、堀の深い顔した外国人がドンキで売ってそうな着グルミを着てカートの運転レクチャーを受けている。それを尻目に俺は現場に指定されている倉庫へと向かった。

静まり返る倉庫内には人気もなく照明も点いていない。「おはようございます!どなたかいませんか?」声をかけると奥からタオルを頭に巻いた男が出てきた。「Mの人ですか?」「そうです。よろしくお願いします」「ああ、おねしゃす」
薄暗がりの中で相手の顔はよく見えないが、俺は懐かしい臭いを感じていた。俺たち傭兵は大別して二つのタイプに分かれる。一つの場所に留まり巣を作るかそれとも常に流れていくか。それぞれの事情やキャラによってそれは変わっていくが、ゆえに新顔に対しては大抵初めは距離を取る者が多い。ベテランの職長になるとその辺りも上手く取り回す者もいるが、二度とは会わないかも知れない流れ者に使う気は持ち合わせていない輩がほとんどだ。またそれを好む奴もいればムキになって反発する奴もいる、ようは群れにフラッと寄ってきた野良犬を品定めしている、そんな空気をタオルの男は漂わせていた。



現場放浪記① 戦場へ帰る傭兵

2020年初春。

散々だった2019年の業績により事業資金はすでに底を突いていた。
下半期に賭けた営業は尽く空振り、予てより進めていた案件は遅々として
進まず、歳を越えるための巻き取りはなんとかなったけれどもそれが精一杯。

俺が印刷業界から脱サラし独立開業したのは三年前。
今、最大にして最高の壁にぶち当たりそして僕は途方に暮れていた。
とはいえ極々ミクロな世界の話であり世の中もっと大変な苦労をされている事業主は腐るほどいるわけだが、その極々ミクロな世界の事業主にとっても金額の多寡は別として人の心が感じる苦しみは同じなのである。だからこそ視野をぼかして視点を変えて進んでいく必要がある。

年末年始に掻き集めた金で数年ぶりに子供らを連れて帰省し、俺は決意を新たに生き残りを賭けた戦いを開始した。まずやるべき事はすでに枯渇してしまっている資金にこれ以上手をつけずに食いつなぐ事だ。そのために俺はクローゼットにしまいこんだズタ袋を引っ張り出す。中にはヘルメット、安全靴、アームガードや膝当てなどが入っている、そう現場に入るための基本装備一式だ。もうこれを使う事はないと心に決めて走ってきたこの三年、しかし状況はそれを許してはくれず、己の未熟さと愚かさをもってまたこのズタ袋の口を開くことになった。

現場へ帰る、またあの汗と埃にまみれた戦場へ。

別に働くことが嫌いなわけじゃない、
むしろ現場独特の雰囲気を俺は愛してもいる。
しかし、そこに留まっていては先へ進むことはできない。
安いプライドと意地で新しく作り出す仕事で食っていく事を誓い、
俺は仕事道具をクローゼットに仕舞い込んだ。

最初はある程度順調に進んでいけた、売り上げは徐々に伸びていき利益も出始めた。顧客も増え始め勢いは増していくかと思われた、しかし程なく落とし穴はその口を開けて待ち構えていた。月々で回っていたルーティン案件が突然のカットオフ。メインで回していた看板製作設置以外の工事案件から湧き出る様々なトラブル。二馬力で回す家計の状態変化。まだまだ自走していけない幼い我が子達。
見る見る間に資金は溶けていった。

留めは中国人の施主との工事トラブルによる赤字を引き受けた事によるダメージだった。所詮は工事の素人である自分が賄いきれる現場ではなかった。どうにか新しい方向へと舵を切らねばならない。そのためにまずは一から汗を流してやり直さねばならない。自分の甘さと弱さを叩き直すためにも。

そして俺は長らく眠っていた派遣会社のアカウントにアクセスした。ここでは仮に「M」としておく。業界の人間ならすぐにピンと来るだろう。ここは数ある派遣会社の中でも単価が比較的高く、また管理状況がいい意味にも悪い意味にもゆるい。本人次第できっちり働けもするし副業としても十分利用できるポテンシャルがある。業務管理システムもシンプルな自前のものを用意しており、登録した当初は派遣会社もここまで来たかと感心したものだった。
とはいえUIはダサい。

サラリーマンをしながら土日に運動不足解消と小遣い稼ぎがてら現場に入っていたのはもう5年ほども前になる。独立直後三ヶ月ほどはちょくちょく行っていたが、それ以降は現場を離れていた。自分の案件回すために現場自体に身を置いてはいたが、これからは使う側ではなく使われる側へと再び回る。二度とは戻るまいと誓った傭兵稼業の再開だ、抵抗が無いといえば嘘になるが背に腹は代えられぬ、家族の食い扶持が自分の肩に掛かっているのだ。

日付を入力し業種を選択する。自分はC契約フリーランス枠での雇用となるのでやれる案件はそう多くはないがすぐに仕事はみつかった。俺はいま抱えている手持ちの案件を調整してさっそくエントリーした。そしてカレンダーに浮かぶ星、エントリー確認の証だ。俺はその黒い星を見つめながら、明日にやってくる懐かしき故郷、派遣の戦場へと思いを馳せた。

遠くに見える芋

芋、芋である。

まずはこのTシャツを見てもらいたい。

Lot.no 002 糞芋

芋である。
多くの方はこのTシャツをみて何がなんだか判らないことだろうと思います。

ここで少しゲームの話をしよう。
バトオペというゲームは自分が操るキャラクターの肩越しに敵を見つけて
狙いを定め攻撃を加えるTPS(Third Person shooting)というカテゴリーに
分類される。その他にも自分の目線でゲームをプレイするFPS(First Person shooting)というカテゴリーも存在するのだが、これらのゲーム内において忌み嫌われる存在、それが「芋」なのである。

上記のゲームにはプレイヤー毎に選べる好みのプレイスタイルがあり、それは概ね得意な「距離」によって特徴付けられている。ざっくりといえば「近距離」「中距離」「遠距離」の三つが基本となってくる。細かくいえばここに「近距離格闘」や「超長距離スナイピング」などが含まれてくる。では芋はどこに属するのかといえばそれは「長距離」カテゴリーに属する。つまりは敵味方が入り乱れる最前線から遠く離れた安全地帯に引きこもり、戦況を省みることなく自分の距離で淡々と長距離狙撃を繰り返す人々の事を「芋」と呼ぶ。もともとは地面に寝転ぶ狙撃姿勢が芋虫のようだとか、自分だけ引きこもって隠れているそのダサさが芋だとか言われていたようでありその語源には諸説あります。

そんな糞芋野郎は敵を狙う事もあればヘイト集めて狙われる事もある。
芋にかかるレティクルは果たして自分のものかそれとも敵スナイパーの・・・。
見るだけイラッとするTシャツをコンセプトに作り上げた一品。

すべてはここから始まった

ということで去年のメインテーマだったTシャツ製作。
自分なりにイラレのオペーレションスキルを向上させる目的で、
自分が欲しいなと思うものは自分で作ろう精神で始めた企画。

やり始めたばかりのバトオペ2(※)をモチーフに思うままに作ってみる。
いわゆる二次創作カテゴリーとなるのであれこれ面倒だが、
そこから広がった人脈もあれ、そして距離感と温度差を見誤り、
大変貴重な出会いをむざむざと失いもすれ、
このあたり成長してない自分のアホさに呆れつつ。

Tシャツに関しては今後も作り続けていくのでここにその足跡を残していこう。
まずは最初に作ったこやつからだ。

Lot.no 001 バズ格
バトオペ2(以下バトオペ)において基本動作であるバズーカ格闘を
ストレートに表現してみた一品。
バズ格とは中近距離戦を得意とする汎用カテゴリーの機体が行う最も
ベーシックな戦闘フォーマットである。
バズーカを敵機に当てる、もしくは敵機の足元などに当てて爆風でよろけさせ
動きを拘束し、その隙を突いて近接格闘攻撃を見舞う戦法だ。
まずはこの一連の動作を身に着けることが新兵の課題であり、
そこから派生する様々な戦闘機動習得への第一歩となる。

地味にフォントは戦闘機などの機体にステンシルで印刷した状態を再現。
分かる人には判って欲しい祈りを込めた。
こちらをツィートした際に思いもかけずプチバズしちょっといい気になる。
そしてその後のデザイン製作が加速していくのであった。

※バトオペ2ことガンダムバトルオペレーション2はバンナムのゲームでおま。
いい年こいたおっさんもやり込む傑作ガンダムシミュレーター。
ネット上では日々手厳しいユーザー達に叩かれまくるがなんだかんだいって
みんなバトオペ大好きよね。
https://bo2.ggame.jp/jp/