「徒然なるままに」カテゴリーアーカイブ

世界は動き続けていますね

年始以来の久々の投稿。
あれから三か月ほどの間に自分の環境も大きく変わりました。

まずは食い扶持稼ぎの仕事がガラッと変わる。
元々洗浄の現場では怪我が絶えず、いつまで続くかなぁと思っていたのですがとある事がきっかけでえいやっと洗浄業界から足を洗いました。いろいろ学ぶことができたがしかし向いてなかったなぁ。なにしろ身長186cm体重103kgで狭い足場の中を動き回るのが無理。お世話になった洗浄野郎どもに感謝感謝。

そして新たな出会いあり。
さて次どうすんべと仕事を探しておりますと、今までとは逆の内装洗浄の案件が目に留まりました。外は見てきたから今度は中を見てみたいという興味本位でとにかく話を聞きに行く事に。んで、ポンと飛び込んだ先の社長が曰く「外装の洗浄と内装の清掃はモノが違うから今までの経験はあんまり役に立たないよ」とバッサリ。こりゃあダメだなと思って話を聞いていましたが、自分の経歴やらなんやら話し、社長の過去の生業履歴を聞いていくうちに意気投合。結果として社長の現業をお手伝いしつつ、人を紹介するからあなたの本業を充実させなさいという事に。つまり、今を自分の力で凌ぎつつチャンスを待てと社長はいう。まさに願ったり叶ったり。瓢箪から駒とはまさにこの事である。

とはいえ世の中そんなに甘くはない。社長の好意に甘えてはいられないしタダより高い物は無い。自分でも新規や掘り起こしを進めつつ新しい案件を拾う。そしてあれこれ金策してなんとか凌ぎつつ、この春を迎えた。

そんな中この10年ほどの間、自分の中で育ててきた企画である絵本を作るというライフワークがいまあと一歩のとこまで進んできた。正直、ここまで来るのに本当に苦労した。何度も何度も挫け、自分の力なさに打ちのめされてきた。
しかし、いまそれが一つの形となって目の前に現れようとしている。ここでも
やはり人なのだ。長男が通っている工作教室のオーナーが自分の企画に興味を
持ち、企画に協力してくれそうな人材を紹介してくれた。奇跡的に自分の意図が真っすぐに通じる人と出会い、この十年進むことがなかった企画がたった三か月で完成間近まで漕ぎつけたのだ。すべては人だ、人の力だ。有難い事である。

世界はいまかつてない危機に苛まれている。そんな中自分は今最高に恵まれていると感じる。この先に何が待つかは分からないが、動き続けて動かし続ける限り道はそこにあるのだろう。そしてまた一つ、自分の中で20年近く燻っていた企画を動かそうと思う。これは自分一人の戦いになるが、いずれはまた人が集まってくるだろう。自分は人が好きなんだ。それがよく分かる春の日である。

新年明けまして2022

路傍の立て札にひっそりと新年明けましておめでとうございます。

誰も顧みる事のないこのブログに新年の記事を投稿することで、
心の奥底に眠る闘志に火をつけていこう思う所存でございます。
皆さま(誰だよ)いかがお過ごしでしょうか?

この年末はオミクロン株もなんのその、約二年ぶりに家族総出で大阪の実家に
帰省して参りました。このご時世どうかという懸念もありつつ、昨年は大病を患い生還した母や大怪我を乗り越えた弟、相変わらず糖尿病でボロボロの父に孫や甥っ子姪っ子の顔を見せておかねばと思い、我が愛車ハスラーをかっ飛ばしてえいやっと。

ハスラーで家族四人とかキツくね?とお思いの諸氏(いやだから誰もいないって)のご心配に及ばず、身長186cm体重103kgの私と妻と子二人が乗ってもわりかし快適に走るんですよこれが。荷物もそこそこ乗るし問題なし。いざとなればルーフに積む事もできます。そんなこんなで7時間ほどで大阪まで走破しました。今回は隣で妻があーでもねぇこーでもねぇと何か言ってるのに対して
「おん、おん」と生返事している間に着いたので楽でした。

そして大阪では大晦日のUSJに殴り込み、子供らはその前日にヒラパーに行くというまさかの連日遊園地三昧をかますという快挙を成し遂げご満悦。当然今回の目的は任天堂ワールドでしたが、まあリアルコインがバンバン流出する恐ろしいワールドでした。アトラクションは正直スパイダーマンとハリーポッターの方がぶち抜きで面白かったのですが、お子様が乗る分にはかなりテンション上がるんじゃないかと思われる設計でした。シングルライダー推奨です。

あとは親兄弟が入院中の世話に奔走した自分を労うべく大層もてなしてくれたので胃腸が疲れ果てるほどの寿司、肉、酒!!で過ごす正月。帰りはボチボチ運転で若干の渋滞に巻き込まれつつも10時間ほどで東京に帰還いたしました。次はまた二年後とかかなぁ。

5日から食い扶持稼ぎの洗浄現場が動き出したので仕事始め。クッソ寒い中で大規模マンションの外構インターロッキングをポリッシャーと高圧洗浄機で洗い倒す。かっぱぎかっぱぎ2022年もお掃除をしておまんまを頂く仕事開始。尊いではありませんか。とはいえ正直体がついていかないなぁ。食い扶持は安定してきたので新たな営業先を当たっていかねばなるまい。

とかなんとか言いつつ今年やるべきことはすでに定まっている。あとはそれをコツコツと続けていくだけ。初夢はかなりグイグイ来るレベルで示唆に富んでいた。吉となるか凶となるか、それを決めるのは自分次第だろう。

皆さま本年もよろしくお願い申し上げます。

うっかりもう師走ですね

前回投稿からうっかり9か月も経ってしまった。

その間、食い扶持を稼ぐために洗浄屋に潜り込んで悪戦苦闘していました。
全くの異業種ではあるが、一から自分を見つめ直し鍛え直す意味合いも込めて何とかビルメンテナンスの会社にバイトとして入る。

アップライジングが死んだわけではないので週3程度入っている。しかし、それではなかなか仕事も覚えないし体ができてこない。そんなこんな言ってると実家の母と弟が相次いでガンと事故で入院。大阪と東京行ったり来たり右往左往。それがひと段落した頃に独立当初からお世話になっていたお客さんがコロナでお亡くなりになった。最近は大学の後輩も自宅で突然死したり、親戚の叔父さんがガンで亡くなったり、とにかく今年は人の生き死にが行き交った年だった。

年末になりようやく仕事にも慣れ、バイトから外注業者へと契約形態も更新し来年への足掛かりを確かなものへとすることができた。とはいえそろそろアップライジングの補強も考えていかねばならない。今のままでは立ち行かぬ。

めぼしい営業先をリストアップし一つ一つ潰していく地道な作業だな。とはいえもともと飲食店が客層のメインだったのでそれでは今後の展望は望めない、さてどうしたものか。そうこう言っているなかで恐らくアップライジングの大本命プロジェクトが動き出すだろう。自分が独立した真の目的、その計画がついにスタート地点に立とうとしている。とはいえ、今までもそこまで漕ぎつけしかしその度に頓挫してきた。今回もそうならない保証はどこにもない。そうなれば今度こそ今ある手を使って前に進むのみ。来年は新たな勝負の年になる。

地味に体もボロボロになりつつ、新しい事も始まりつつ、しかしピンチは変わらずピンチである。気張って参りましょう。

気がつけばもう春だった

春である。

春は別れの季節。

年明けからこちらバタバタっと今まで繋がってきた人たちとの別れが訪れた。
自分に問題があったり相手の都合がこちらの都合と合わなくなったり、
こんなご時世だからこそ真っ当な道に襟を正していかねばならない、
そんな中での判断と流れの上で離れる人とはここで一旦お別れを。

縁が消えてなくなった分けではない、
必要であればまた別の出会い方ができる。
それとは別に変らず新しい道を拓く人たちもいる。
良くも悪くもいま篩にかけられてれいるんだなと感じている。
ここから先一緒にやっていける人、別れる人。
今一度自分自身を見つめ直し立て直さねばならぬ。

そんな中、通り過ぎる人も疎らな自分の過疎fbに似たようなポストが。

シン・エヴァンゲリオン劇場版である。

コロナ禍にあって上映が延期されていたと聴いていたが、
どうやらついに上映されたようだ。
同世代の連中がみなこぞって映画の半券写真をアップしている。
ネタバレこそしない紳士然としたポストだがしかし、
どうやら「終わり」をそこに滲ませている。

初めてエヴァを見たのは19だったか、惰性で見ていた夕方のアニメ枠、
志望の大学に落ちてプラプラと浪人暮らしをしていたころだった。
wikiで見てみると前番組はミュータントタートルズとあるが勇者系じゃなかったかと思ったがまあそれは置いておいて。それが終わり次週から始まる新作予告として流れた短い映像。なんだか細い紫の「何か」が出てくるアニメ。はいはい、よくあるやつな。という事で追いかける事もなくそこで興味を失った。当時19歳だった自分は若干アニメから離れつつあり、「子供から大人」へと変貌しつつある時期だった。

そしてしばらく時は経ち、晩飯食いながらいつものごとくテレビをつけると例のヘンテコなロボ?みたいな奴が出てくるアニメがやっている。なんかこの絵柄見覚えあるなぁと思いながらモグモグやりつつ見ていると、どうやらあれは人型ロボットであり今から火山に潜るのだという。マグマダイバーというタイトルが異常にかっこよく思えて「そうか!これは日本中の火山に潜む怪獣をロボットが倒すアニメなんだな!!」と勝手に思い込み俄然興味が湧いてきた。

そしてそこから毎週観る事にしたんだが全然ロボットが火山に潜らない。いつになったら富士山に潜るんだ?もちろん富士山にはラスボスっぽい奴がいるんだろ!?フォッサマグナがなんか鍵になってくるんだろ?!!とかいろいろ妄想していたのに毎週毎週なんだか暗い童貞丸出しの主人公がエッチなお姉さんや性格と口が悪いヒロインやヤンデレ包帯少女に絡みつつ父親に存外な扱いを受ける様を見せられ続ける。もう観るのやめようかとも思ったが、いやいや待て待ていつかきっと火山に潜ってなんかとんでもないことが起こるに違いない、だって絵には迫力あるしなんだか無暗にワクワクするしお姉さんはサービスサービスだしもうちょっと頑張ろう。そうひた向きにロボットが火山に潜る日を待ちつつ毎週毎週欠かさず観ていた。

そんなある日、いつものように晩飯食いながらワクテカしつつエヴァが始まるのを待ちわび、そろそろ歌えるくらいには覚えたOPが過ぎてついにその時が訪れた。

「え・・・喰ってる・・・ロボットが・・・怪獣喰ってる・・・!?」

ここに居たり初めて俺は気がついた。

「このアニメ、ロボットが火山に潜るアニメじゃなかったんや!!」

晩飯を食いながら箸を持つ手が震えていた事を今でもはっきりと覚えている。
もう火山には潜らないという喪失感と、
今まで自分は何をしてたんだという驚愕が一挙に襲い掛かってきた。

あれから26年経って、
シンジはようやく大人になった。

いろんな別れや喪失を越えて、
まるで就活サイトのCMみたいに駆け出して行った。

ありがとうエヴァンゲリオン。

ありがとうマグマダイバー。

全ての別れと出会いに感謝を込めて。

師走に始まるエトセトラ

気が付けば師走、年末ですね。

今年は放置していたこのブログを書く時間嫌が応にも発生したのでそこそこまとまってコンテンツが増えた。これはある意味収穫であった。そんなこんな言いながらなんとかかんとか生き残ってきたわけだが、まああれですね、借金ばっか増えて来年どうすっかなぁって感じですね。

とはいえ明るい話題もあるにはある。
今年成し遂げた事といえば、

・心理カウンセラーの資格を取る(国家資格ではないのでハリボテだが)
・Tシャツの露光機を自作してTシャツ造りに新境地を切り拓く
・新しいカメラを買って動画づくりに新戦力投入(オズモポケット2!!)
・工事案件に超強力な協力企業様と縁できたので来年が熱い!?

などなどありつつさらに一番期待値が高いのが、

「地味に再就職への道が現れた!」

である。

来年に向かっての生存戦略として何としても何らかのルーティンを作らねならない。
しかし、取引先はみるみるうちにバタバタと倒れていく。比較的体力のあったところでさえとりあえず一旦退却するという状態に陥っていく。既存客に期待して口開けて待っていてもこれは何ともならん。バイトでもなんでもいいからとにかくどっかに食いついていかないと普通に飢え死にする。冗談ではなくてリアルに飢え死にと宿無しになる。今そこにある危機である。

という事で40を越えての就職活動を開始である。とはいえ自営でやって来たあれこれのご縁も完全になくなったわけではない。それを細々でも繋いでいきたいという身勝手な願いもある。その辺りを汲んでくれる奇特な会社は無いかいなと思っていたら、あったんですねこれが。しかも家(事務所)から歩いて3分のところに・・・。

探し始めて三日で面接が決まり、二週間ほどで採用が決まった。条件的にはまずは試用期間として週3日程度で入ってみて自分の仕事の都合でシフト組んでOK、たまに出張とかあるしそれはまた相談させてね。なんというか願ったりかなったり過ぎる。仕事内容は当初はイラレのオペレーターとしての採用だったのだが、あれこれあって別の人員が採用されたようである。しかし、社長と話が合った自分は別系統でなにかできないかということでとりあえず採用となった。そして実際蓋を開けてみるとそこは鋳物の型をUVレジンで作る工場であり、社長の手元に入ると割とあっさり基本の工程は飲み込めた。そうなると社長は次々と別の工程も任せてくれるようになり、先々への流れがズンズンとできあっていった。何かが始まる時ってこういうものだ。

年内はとりあえず来年への準備をしつつ、また方向性を固めつつ。師走を生き抜くために今をジリジリとしながら前に進もう。ちょいと早いが皆様良いお年を。

新しいお仕事はじめました

コロナイヤーでスタートアップ第二弾。
TシャツDIYに続くアップライジング新機軸。
心理カウンセラーの資格取りました!!
とはいえ国家資格ではないのであんまり役には立ちませんが(汗

3年ほど前からボーイスカウトの一員としてカブ隊デンリーダーをやらせてもらっているのですが、小学校3~5年生のスカウトたちと混じって山行ったり川行ったりサイクリングしたり工作したり料理したり、そんな中で子供たちの心の在りようや成長について思い悩むことが多々ありました。

今までの自分の子育てや人生の経験に照らしてあれこれ考えて時々に対応してきましたが、そういったものにもっと明確な裏付けが欲しいと常日頃考え来ました。なのでこのコロナ禍の最中にあって有り余る時間を使って勉強してみるかと一念発起。約半年かけて資格を取ることができました。

今後は学びを深めつつ自分の周りにいる人たちの支えとなるように、共々の成長を願い目指して精進していく所存です。ついでになにか仕事にならないかも模索してみよう。まったく新しい試み、これはまた楽しみな事だ。

夏になると聴いてしまうBGM

class 夏の日の1993
高校性の時に学校近くの喫茶店でバイトしてたなぁ。有線がずっと流れていて、この曲も腐るほど聞いた。バイト先の先輩がかわいかったなぁ。隣の公立高校に通っている一個上だった。ウェイトレスの制服が今思い出してもムチムチ過ぎた。そして店のオーナーのおばさんがいい女だったなぁ。多分40過ぎくらいだったと思うが口紅が真っ赤でケツがデカかった。黒いタイトスカートと白いシャツがムチムチ過ぎた。そして俺はオムライスの作り方を覚えた。
1993年の夏はムチムチだった。

7日間ブックカバーチャレンジ⑦

Day 7 あかね空
はい最終日でございます。ここまで特にこれといった盛り上がりもなく、割と淡々とやってきましたが最終日も同じくでございます。

最終日は山本一力作のあかね空。これは京都で修業した豆腐職人が江戸に出てきて店を出すという時代劇です。

豆腐屋の時代劇。

これだけではなんのこっちゃ分からん話かと思いますが、これがまあ面白いんですわ。

筋をもうちょっと追ってみるとですね、若き豆腐職人が志もって京都から江戸に上ってきて豆腐屋を構え、そこで色んな人に出会い支えられながら豆腐屋を営んでいく。そんなお話です。いやいやなんか普通やん!そうお思いかもしれませんがそれがすべてであり、そんな当たり前の豆腐屋の人生がジワジワ沁みるんですよ。

これを最初に読んだのは今から10年以上前か、あの頃はまだ子供もいなかったが、今妻子を持って曲がりなりにも自分の看板立ててやっているからこそ、読み返せばまた違った景色が見えるだろう。そんな一冊です。

作者の山本一力は異色の時代劇作家でして、切った張ったの時代劇ではなく主役は町人商人がメイン。町のぼてふりやってる若い娘がたまたま拾った財布に贋金が・・・。といったような、商売や当時の風俗絡めた描写が絶品。そしてそこに通底する人情が涙を誘う。

商売人こそ読んでみるとガッツリハマる不思議な魅力溢れる、そんな山本一力の世界をぜひ一度手に取ってみてください。

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チャレンジ概要
読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する

7日間ブックカバーチャレンジ⑥

Day 6 男の系譜
ブックカバーチャレンジも終盤。漫画ばっかでなくて他もないかと見渡すと、忘れちゃならないこのお方の一冊。池波正太郎先生の登場であります。

池波先生といえば鬼平犯科帳や剣客商売がまず浮かびますな。鬼平犯科帳といえば旬の料理を作中に絡ませるのが絶妙であり、平蔵と密偵達が会議を行う鳥鍋屋「五鉄」の軍鶏鍋なんかは特に有名。その他にも芹の味噌汁だとかきぬかつぎだとか、特別でなくても旨そうなのがワサワサ出てきます。今ではクックパッドに鬼平料理のレシピがどっさり収録されてたりするので、晩御飯の献立や酒の肴に迷ったら検索をお勧めします。

他にも仕掛け人梅安も名高く、しかしこれだけでなく他にも屈指の名作があるわけですが、そんな池波作品群は自分的には時代劇小説だと位置づけています。余談ではありますが司馬遼太郎は歴史小説で池波先生は時代劇小説、似ているようで似ていない感じですね。

そしてそんな池波先生の歴史上の人物に対する所感をインタビュー形式でまとめたものがこの男の系譜であります世はまさにバブル前夜の昭和60年に発行されている本書。池波先生の視線が戦国から幕末にかけての数々の武将偉人を貫いていく。歴史を俯瞰しつつ現代の日本を見つめ、時に辛辣な言葉を投げかけたりします。男ばかりではなく女にも言及していたり、小説とはまた違った切り口で紡がれていく語り口が貴重かつ示唆に富んでいる。

時代劇のチャンチャンバラバラだけではなく、株を生業としていた池波先生ならではの視点から見た歴史の道、そしてそこを知恵と才覚、剣の腕と命がけの度胸で生き抜いていく男達の生き様。それは今を生きる我々にとっても決して他人事ではない言葉。何か道に迷ったなと思ったときにふと紐解いてしまう一冊でございます。
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チャレンジ概要
読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する

7日間ブックカバーチャレンジ ⑤

Day 5 孔子暗黒伝

5日目にしてついに登場。諸星大二郎大先生の傑作であるこの一冊。
この作品には個人的なエピソードがありまして、それがごく最近結実した作品なんですな。

自分は子供頃から歯医者やら床屋の本棚が大好きで、そういうところに置いてある待合漫画を読むのが密かな楽しみでした。そんな待合図書の中で強烈に記憶に残っている一冊がありました。それは洞窟の中に一人っきりで閉じ込められた幼児がおり、その幼児は奇妙な肉の塊を食べて生き残っているという話でした。なんだか人の顔が付いている奇妙な肉の塊を、小さな子供が毟り取っては口に運ぶその姿がなんとも言えないインパクトがあり、また肉ともガムともいえない何かがその歯ごたえさえ想像できるような、どこの何ともわからない世界が自分の中に長い間眠っていました。

それが最近たまたま手に取った一冊の中に存在したのです。実に30年近い時を超えてその正体を現したのです。それがこの孔子暗黒伝の中に出てくる視肉というものでした。地の精を無限に吸い上げ食べても食べてもなくなることがないというこの肉。しかしそれゆえに人々は食を失う恐怖から解放されると同時に堕落してしまうという諸刃の剣。飽食の時代にあって人は感謝と謙虚さを忘れてしまうということか。

作品自体はタイトルにある通り古代中国の知恵者である孔子を巡るSFなわけですが、諸星大先生ならではのぶっ飛び具合で読んでいると蒙が開きまくります。読み進めていくと脳の眠っていた部分がバッカンバッカン開いて脳汁がブチュブチュ出てくる感じがヤバい。

ちなみに、宮崎駿御大は諸星大先生にかなり影響を受けているそうで、確かにナウシカの原作を見ると諸星タッチの片鱗を見ることができます。あの一種独特の線は真似しようとも真似ができるものではないが、そこは天才同士なるほどと思わせるシンパシーを見て取れます。例えば爆撃で吹き飛ぶモブキャラとかに似通ったところを見て取れるし、全体的に線が持つ厚みなんかも近いモノあるなぁと。

話を元に戻して、自分は諸星作品のほとんどを持っているのですが、これはそういった作品群の集大成的な感じがする一冊です。まずは妖怪ハンター辺りから入って、マッドメンとか暗黒神話を読んでからこちらを読めばいい感じ。そして何より驚くのがこれがジャンプで連載されていたという事実。恐るべし80年代であります。

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